劇団月光斜TeamBKC冬公演「さらば、ぼくらの宇宙船地球号」

12月11日~13日の3日間、びわこ・くさつキャンパス内ユニオンホールにて劇団月光斜TeamBKC冬公演「さらば、ぼくらの宇宙船地球号」が上演されました。今回の公演は、劇団員の月見さんによる完全オリジナル脚本で行われました。あらすじは以下の通りです。

あらすじ
ある人が言った
この宇宙には何でも願いが叶う夢の星があると
その星を信じた者は今なおその星に住むことを追い求めている
そんな星は現実にあるのか... それとも悪魔のまやかしなのだろうか

父親を探しに街に出て、宇宙船に半ば強引に乗せられた大学生「河野 修」をみしまさんが演じ、劇中で彼を取り巻く彼の心の葛藤を見事に描き出しました。また、脇を固めるキャラクター陣も個性が強い役どころでありながらも見事に演じきり、観客を大いに沸かせました。今回の公演では、公演前から主役が舞台にいる、スモークを使った特殊効果など、普段の公演ではあまりやってこなかった演出も積極的に取り入れ、新時代を思わせるかのような公演に仕上がっていました。今回の公演は劇団が代替わりしてから初めての公演となりましたが、熱心な演劇ファンや学生、さらには高校生までもが来場し、公演を観賞しました。公演中感動のあまり涙を流した観客もいるなど、会場は感動の渦につつまれました。

2日目の公演終了後、今回の舞台の脚本・演出をした月見さん、主役の河野 修を演じたみしまさん、山下役を演じたりおすけさん、夏目役を演じたレインさんにインタビューを行いました。

2日間終えた今の心境を教えてください。
月見(以下、月):今まで先輩がいなくなってできるかなと思ってた不安が今はもう全くなくなりました。
後輩たちもすごく優秀で頑張ってくれたし、同期も協力してくれたし、参加していただいた先輩たちもすごくサポートしていただいたので... まぁ、そんな感じです。
前回公演からあまり間を空けずに行われた今回の公演でしたが、制作期間はどれぐらいかかったのですか?
:仕込み(舞台の設営)のちょうど1ヶ月前に公演準備を開始しましたので、1ヶ月と1週間ぐらいですね。
前回の卒業公演とほぼ変わらない日程で制作されたのですね。
:そうですね、あの公演も短かったですけど今回も短かったですね...(前回は公演まで1ヶ月半を準備期間に充ててました)
演出面で苦労されたことはありましたか?
:うちの劇団では、SF作品を全くといっていいほどなかったので、宇宙の演出や宇宙船のように特別な演出があるので、そこをどこまでうまく表現できるかが難しかったです。
今まで培ってきたものがほとんどない中で演出を考えていらっしゃったのですね。
:そうですね、新しいことは多かったですね。作ってる中で「あたし、何でこんな難しいの書いたのだろう」って(笑)

一同:(笑)

後悔しきりですか(笑)
:まぁ、楽しみ半分、後悔半分といった感じですかね(笑)
今回の公演はシリアスさを強く出してた印象があったのですが、演出面でそういった面を増幅させるような工夫は何かされましたか?
:キャラクターそれぞれに抱えている理想があって、それと現実のギャップの間にある葛藤を描きたいとは思ってたので、そこを描いたことによって全体的にシリアスな劇になったのではないかと思ってます。
そう言われて見ると夏目さんはかなり大きな闇を抱えていたのではないかと(笑)
レインさん(以下、レ):夏目は基本ヤンデレなんで(笑)
各キャラクターを演じる上で力を入れた所を教えてください。
みしまさん(以下、み):「修」というキャラクターは、俺の素の部分と似てる部分があるんですよね。だから、あんまりキャラ作ろうとは思わずにやっていこうと。俺もだらけるときはとことんだらけられるので、そんな感じでやったらいいんじゃないかと。

:まぁ、似てると思ったので(笑) そう思って選んだので(笑)

:(笑)

りおすけさん(以下、り):今回の話の中では、主人公じゃないんですけど、しっかりとした軸に置かれている人物の役をいただいたので、主役は修くんだけど、シーンごとに主人公よりも自分がキャラとして立つようにという意味で出来る限りアクセントをつけなきゃなというのは意識してました。
目立つとこは目立ったれと思いましたね。「主人公は俺だ!」見たいに(笑)

一同:(笑):だいぶセリフの担当を修と山下で変えてまして、秋田小町(本編に宇宙船の船員として登場する。演・御坂大重)を説得するシーンは元々修が言うはずだったのが山下に変わって、主人公食っちゃった感が(笑)

:夏目は、ロボットで、優秀で完璧なんだけどどこか不完全という部分を出すのにすごい苦労しました。自分の近くに参考となるモデルがないんで、まずは夏目との共通点を見つけるところから始めて、だんだん彼女の深い闇を掘り下げて行きましたけど、最初どう彼女に近づくのかで苦労しました。

演じてみて面白かったところってありますか?
:最初役をいただいた時は、葛藤はあるけど主人公より目立たないようにしてたのが、逆にいっそのこと主人公食っちゃっていいんじゃね? と途中で思い始めて、主役じゃないけど存在感出せたのは楽しかったですね。バックアップだけど、主人公押さえつけて良いみたいな。そういう意味では、今までとは違う役の回し方だったので、そこが面白かったですね。

:最初、修役に選ばれたときに設定見たら「普通の大学生」って書いてあって、普通って何だろうみたいな感じでぽつりといったらりおすけさんに「それは自分で作れるからいいんだよ」って言われて「そうなんだなー、面白いんだなー演劇」って素直に思いました。

:夏目は後半に行くにつれて、感情の変化が激しくなるんですよね。だから、前半はセーブしてるんだけど、だんだん出していって、いろんな感情を出せるのが面白かったですね。

この演劇が開演する前に、修が部屋でゴロゴロしてるのが目に留まったんですけど、これはどのような狙いがあったのですか?
:この劇のコンセプトのうちの一つが「現実と夢の対比」なので、修くんが無駄な現実に埋もれてる中から、現実を変えようという変化の劇なんですけど、現実を無駄にしてる感じを感じてほしかったです。開演してからいきなり現れてスタートしても、修くんのぐーたらな感じは感じてもらえないんじゃないかと思いました。
最後エンドロールをはさんでラストシーンに入った意図は何ですか?
:今回の劇全体として、新しい事をいろいろやってみたくて、ただ暗いだけの瞬間をシーン転換で増やしたくなくて、当初はそのシーンの転換を暗転にする予定だったんですけど、映像さんもいるし、何かしたいなと思って。内容は映像さんにお任せして、担当の方が「エンドロール流したらいいんじゃない?」ってなって。
最後にファンの皆さん、学生の皆さんへ一言お願いします。
:みんな忙しいと思うのに、わざわざ時間を空けて見に来てくださる人もたくさんいて、その人たちのためにも良い劇を作りたいなと思うので、これからも応援よろしくお願いします。

:いろんなタイプの劇を作っているので、もしかしたら、今回は期待してたのと違うなという気持ちを持っている人もいるかもしれません。そういう方でも、その次の公演だったら、もしかしたら自分にとって合うような劇が作られてるかもしれないなという風に思っていただけると嬉しいので、僕たちは色んなものを作ってますということを伝えられたらなと思ってます。

:本当に月光斜の劇を見に来てくださる方には本当に感謝しています。ありがとうございます。見に来ていない人でも、演劇は良いものなので、是非良かったら足を運んでいただきたいと思います。

:大学にはいろいろサークルがあって、演劇以外にも芸術系の活動をされてる方はいると思うんですけど、芸術って合う・合わないはあるので、見て、「合わないな」って思うのは仕方ないんですけど、まずは演劇を見て知ってほしいです。まず一目見てください。それだけです。

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(左から:りおすけさん、みしまさん、月見さん、レインさん)

劇団月光斜TeamBKCは次回、来年4月に新歓公演を予定しております。心を揺さぶられる大学生による演劇を生で体感してみてはいかかでしょうか。

写真・文:浅野 充輝

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